あなたが海を見ているうちに
私 少しずつ遠くへゆくわ
風が冷たくならないうちに
私 もうすぐ そこは国道
風は夕風 心を抜けて
背中を抜けて あなたへ帰る
忘れないでね 忘れたいんだ
言えない言葉 背中から背中へ
だれか 車で待ってるみたいな
少し気取った 甘い足どりは
せめて最後の 私のお芝居
どこまで行けば バスが来るのかしら
遠いうしろで 車の音がすると
あなたが呼んでくれたのかと思って
わざと少しだけ急ぎ足になる
追い越してゆく ふたりづれ フェアレディ
こんな海辺に するんじゃなかった
いいかげんな 街ならよかった
持ったサンダル わざと落として
もう一度だけ ふり返りたいけれど
きっとあなたは もういないから
ふり返れない 国道 海づたい