♪印象派を先取りした晩年の名作
「巡礼の年」は全4集からなるリストのピアノ独奏曲集です。
超絶技巧のヴィルトーゾとして名声を博した20代から、
出家してカトリックの僧籍を得た60代に至るまでに、
断続的に作曲された計26曲で構成されています。
スイスとイタリアを訪れた際に、そこで触れた様々なものに触発され、
また感じた想いなどが各作品に込められています。
作曲家としてのリストが作風ににおいてどのような変遷を
経て来たのかを知る上でも、貴重な作品集になっています。
「巡礼の年」は第1年、第2年(補遺を伴う)、第3年からなりますが、
最後の曲集となる第3年の第4曲が、「巡礼の年」全体の中でも
特に有名な作品のひとつ「エステ荘の噴水」です。
僧籍を得てワイマールを去ったリストが滞在した、
ローマ近郊の町ティヴォリにあるエステ荘の様々な噴水を、
トレモロ奏法などを駆使して丹念に描き出しています。
それから24年後、この曲に感動したラヴェルは「水の戯れ」を作曲し、
次いでドビュッシーも「水の反映」という、
それぞれリストの影響が感じられる作品を発表しています。
このことから「エステ荘の噴水」は印象派を先取りした、
音楽史上重要な作品のひとつともされています。
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