坂口安吾に続く朗読ダンス第二弾。
場所は、池ノ上近くの公園。
金魚の女の子と老齢の小説家のお話。
妄想とも現実ともつかない、危うい世界。金魚は、金魚でもあるし、少女でもある。金魚という設定が、セクシャルな表現の歯止めにもなっているし、より過激なエロスの表現にもなっている。
おねだりばかりする金魚をsatomyが、翻弄されつつも、その快楽を積極的に受け入れる老作家をarriが演じる。
といっても本作は、完全な会話文のみで構成される『蜜のあわれの』の朗読劇で、ダンサーの朗読もところどころ拙い。読みミスもある。それも含めて、ダンサーの二人の「そのもの性」に賭けた作品と言って良いだろう。
先日、爆笑問題の番組に出演していた野田秀樹が、「言葉は、しかるべき筋肉を鍛えないと大きく発声されない」「言葉は、身体の延長なのでは」みたいな発言をしていて、凄く納得はしたのだけれど、映像の世界においては、少し違うという気がした。
言葉と身体がバラバラなのが映像なのです。
上記で使った「そのもの性」とは、「言葉」と「身体」がバラバラで、それをひっくるめて写ってしまうものを指しています。
「拙さ」を積極的に表現しているわけではありませんが、「拙さ」・「も」ありなんです。
ただし、技術的なこと、特に録音、カメラの「拙さ」は偏に監督である福山の問題で、批判されるべき点なので、今後改善して行きたいと思っております。
ポケットダンス26
出演 arri
satomy
振付 arri
text 室生犀星/蜜のあわれ
撮影・演出 福山 源
制作 out-1 film
2010.7.14