「流星」吉田拓郎（森七菜）

1979年5月5日、16枚目のシングルとして発売された。
『流星』はドラマ「男なら！」（TBS系）の主題歌に採用。ドラマにも第22話（1979年9月4日放送）で吉田拓郎が本人役でゲスト出演し、本楽曲を披露した。

作詞・作曲：吉田拓郎
編曲：鈴木茂

1979年、この年7月25日に愛知県篠島でのアイランドコンサートに向けて、そのイベントの狼煙のような景気づけ的なお祭り騒ぎに乗じた雰囲気の中『流星』は発売された。
しかし、思うようにセールスが伸びず、大ヒットとはいかなかったまでも未だに拓郎ファンの中では高い評価のある歌だ。

　たとえば 僕がまちがっていても
　正直だった 悲しさがあるから

　静けさにまさる 強さは無くて
　言葉の中では何を 待てばいい

正直だった悲しさ…どうしてこんな歌詞が出てくるのだろう？
2012年にあるラジオ番組で、拓郎はこの曲について語っていた。この曲を作っていた時、33歳になった彼は誰もが避けては通れない「年齢」「加齢」という問題と向き合っていた。
もう、若者ではなく「大人」になってしまった自分自身を見つめ直し、これからどのように音楽と向き合っていけば良いのかを模索していたと告白している。

そして、静けさこそが何より強い事なんだ。周りの雑踏がかき消してくれているうちはまだ気づかずに済んだ事でも、静かになってみると向き合っていかなくてはいけない。

そう、時は僕たちの想いや都合に関係なく淡々と流れていく。
流れの中に取り残された、なんとも言い表せない心の疼きを、拓郎は詩的な言葉と独特のメロディにのせて歌った。
幼少期から思春期にかけて形成されたガラスのような自我フィルターを通して感じた世界と人々への想い。その時々に置いていったトキメキ、煌めき、切なさ、痛み。
これら全てのものは、その瞬間に現れては流れて消えていく流星のようなものなのかもしれない。

この曲は1979年にシングルでリリースされ、その直後に行われた篠島コンサートで演奏されて以来、長い間人前で演奏される事はなかった。
それから時を経て、拓郎自身の気持ちにも整理がついたのだろうか、後輩達がこの曲を愛し、たくさんのカバーを耳にするようになってきて、拓郎本人もライブなどで演奏する様になった。

　たしかな事など 何も無く
　ただひたすらに 君が好き

時が過ぎてしまった今、あの頃のなんとも言えない気持ちは、もう二度と体験できないのだろうか。

#流星
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