フランスの民話「美女と野獣」(J・L・ド・ボーモン夫人版)を元に1991年に制作されたディズニーの長編アニメーション作品である。日本での公開は1992年9月。
1991年アカデミー歌曲賞受賞。
製作:ドン・ハーン
監督:ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ
製作総指揮:ハワード・アッシュマン
脚本:リンダ・ウールヴァートン
作詞:ハワード・アッシュマン、アラン・メンケン
作曲:アラン・メンケン
あらすじ
森の奥にある城にとても傲慢な王子が住んでいた。ある日の夜、醜い老女が城を訪ね、一輪のバラをあげるかわりに城に一晩泊めてほしいと頼む。しかし王子はそれを断り、老女がもう一度頼んでも王子は聞く耳を持たず、追い返そうとした。するとその瞬間に老女は美しい魔女に変わり、優しい心を持たない王子と、王子をそのように育てた召使いたち、さらにその城全体に魔法をかけてしまう。そして王子は恐ろしい野獣の姿に、召使いたちは家財道具の姿になってしまった。一輪のバラの花を置き、魔女は消えていった。そのバラの花びらが全部散るまでに、王子が人を愛し人に愛されるという「真実の愛」を見つけなければ、王子たちにかけられた魔法が解けることはない...。
一方、街の発明家モーリスの娘・ベルは街一番の美貌の持ち主で、読書と空想が大好きな父親想いの娘だった。ある日、モーリスは父の発明を心から応援するベルに見送られ、街の発明大会へ一人向かう。今度こそ1位を獲るのだという希望を胸に。
そんな中、彼女に街一番の狩人ガストンがベルに結婚を申し込む。ところが高慢で意地悪な性格であるガストンは、ベルの気持ちも確かめずに一方的に繰り返し、結婚を迫るのだった。
ガストンの執拗なアタックに疲れてしまったベルは草原を歩く。そこへ、モーリスの馬が慌てた様子で走ってくる。父に何かあったのでは...と一人父を探しに出かけるベルがたどり着いたのは、野獣に変えられた王子が住む城だった。モーリスが王子に捕らわれていたことを知ったベルは、自分と引き換えに父を解放してほしいと王子に頼む。こうしてモーリスは城から解放され、ベルは王子と共に暮らすことになった。最初のうちは礼儀を知らないわがままな王子に手こずるベルだったが、やがて一人城を飛び出して野生の狼に襲われたところを王子に助けられたことがきっかけで、王子と心を通わせるようになる。また、王子もベルと触れ合ううち、徐々に優しい心を身につけていき、自分を恐れず一緒にいてくれるベルに想いを寄せるようになり、いつしか二人は惹かれあうようになっていた。しかし、自分がベルを愛していることに気付いた王子は「ベルをいつまでも閉じ込めていてはいけない」と考え、ある日ベルを城から解放し、街へ帰すのだった。
街へ戻ってきたベルは、ガストンがモーリスを利用してベルと結婚しようと画策しており、モーリスを無理やり入院させようとしていたことを知る。ベルはガストンの求婚を拒絶し、モーリスが「娘が野獣に捕らわれた」と町民に話していたのを知ると、父の発言が正しいことを証明するため、王子からもらった魔法の鏡で野獣の姿をガストンに見せた。ところが、これを見たガストンはベルが野獣を好いているのだと思い、町の人々を煽動して野獣を討とうと城へ向かう。それを知ったベルは、王子を助けようと再び城へ戻る。
だが、野獣である王子を射止めようとするガストンが王子に戦いを挑んだ。情勢ははるかに王子に有利だったが、今までの野獣ではない彼はガストンに最後のとどめを刺すことができず、逆にガストンの短剣が彼の背中を突き刺すのだった。痛みにのた打ち回る王子。しかし、傷ついた王子の脇にひざまづき、ベルは王子への愛を打ち明ける。ベルの涙が額に落ちた時、目をみはるような奇跡が起きた。それは、今まさに呪いのバラの花びらの最後の一枚が散る瞬間のことだった...。